スウェーデン大使館でWikiGap

WikiGapのTシャツとマグカップ

いろいろのイベントに参加し何人ものウィキペディアンと出会った2019年ですが、さらに9月にはWikiGapエディタソンがありました。WikiGapとは、「Wikipedia上の人物に関する記事のうち、女性の伝記は2割程度だという状況を解消して女性の伝記記事を増やしたい」、また「Wikipedia編集者のうちの女性の割合は1割程度だという現状を改めたい」、という活動です。エディタソンというのは編集を意味するエディットと、マラソンをつなげた造語です。このイベントについてブログにまとめておいたので、抜粋加筆して紹介します。

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9月29日に港区六本木にあるスウェーデン大使館で開催された、WikiGapエディタソンに参加しました。当日は10時に講堂で開会セレモニー、まずペールエリック・ヘーグべリ駐日スウェーデン大使のご挨拶。スウェーデンでは40年くらい前から男女格差の是正に関する政策を進めてきたこと、このWikiGapの活動は世界60か国で既にイベントを開催しており、日本では今回が最初で、10月14日には大阪でも開催の予定とのことでした。続いて国連事務次長の中満泉さんからのヴィデオメッセージが披露されました。国際機関の最前線で仕事をされている中満さんからの、女性の社会参加と活躍を応援される、ご自身の経験を踏まえた熱いメッセージに感激しました。次はウィキペディアン海獺さんによる編集のアドバイス、さえぼーさんによるWikiGapの解説と続き、事例として特別ゲストであるITエヴァンジェリスト若宮正子さんの記事を、その場でWikipediaにUpするデモに皆で拍手!若宮さんの凛としたお姿を近くで拝見できたのも何よりでした。

イベント会場に移り、11時すぎから作業机にセットした各自のPCで、早速Wikipediaの編集開始。新規記事を立ち上げる人、既存の記事を編集して充実させる人、外国語版からの翻訳に挑戦する人などなど、40人ほどの参加者は各人思い思いのテーマに取り組みました。サポートする10人ほどのベテランウィキペディアンの皆さんは、誰かの手があがるとさっとその場に駆け寄って質問に答えてらっしゃいました。私は事前に準備して下書きサンドボックスに書いておいたダンサー「宮操子」の原稿を、持ってきた資料によって追加したり修正したりしました。これまで20程の記事をWikipediaにあげてきましたが、やはり出典となる資料を事前にきちんと準備すればするほど充実した記事が書けるのを体験したので、今回もできるかぎり資料を集めました。Webで見られるものはURLを下書きに書いておけばいいのですが、そうでないものもあります。現物が入手できればいいですが、NDLデジタルコレクションにしか見つけられなかった資料は、前日に閲覧してここぞと思うページをコピーしてきました(これも今ならURLを貼り付けますが、当時は今ほど使い勝手がよくなかったのです)。本文が一応書けて出典を整えたところでウィキペディアンの先輩に確認してもらい、改善点のアドバイスをいただいて改訂。何度か繰り返して15時半ころになんとか公開できました。この「宮操子」は後日Wikipediaの「新しい記事」に選ばれて嬉しかったです。

執筆の途中で雑誌社の方のインタビューを受けました。参加の動機、どんな記事を書いているか、など尋ねられたので、思うところをいろいろしゃべりました。翌日にはきちんと要点をまとめて記事にしてくださったのはなによりでした。
男性が支配するウィキペディアを改善しよう! ウィキギャップが東京で初開催 BY ELLE JAPAN 2019/09/30
ここに載った私の発言は次の部分。
「すでにアカウントを持っていて、20記事くらいを書いていたけれど、改めてイベントに参加していろいろ発見したかったんです。……正しい情報を手渡したいということは司書の職業倫理に通じるものがあります。見ていただきたいのは出典。ウィキは出典と利用者を結びつけるための文章だと思っています」(門倉百合子さん・司書)

参加者には太田尚志さんや伊達深雪さんなど遠方からの方々もいらして、皆さんとはランチタイムや夕方のバーベキューの席でたくさんおしゃべりしました。それぞれの参加動機を伺うとなるほどと得るものが多く、最後まで実に充実した一日でした。スウェーデン大使館のサポートも何から何まですばらしく、スウェーデンという国の向かう方向を垣間見た気がします。また世界は途切れなく繋がっているのを実感しました。写真は参加記念にいただいたTシャツとマグカップです。イベントに関わられた皆様全員に深く感謝申し上げます。
(元記事:Kadoさんのブログ 2019-10-02)

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ブログを読み直して改めて気が付きましたが、私のインタビュー記事で「ウィキは出典と利用者を~」となっていました。私は「ウィキペディアは出典と利用者を~」と話したつもりでしたが、記者の方が短縮されたようです。この記事の文脈では短縮しても問題なかったかもしれません。しかしウィキペディアの姉妹プロジェクトには「ウィキデータ」や「ウィキニュース」などいろいろあり、運営しているのは「ウィキディア財団」です。なので私はいつも省略せずに「ウィキペディア」と言うことにしています。

■参考
Wikipedia:オフラインミーティング/WikiGapイベント