ESEAP2024プログラム

ESEAPカンファレンス2024 コタキナバル (EmpAhmadK, CC0, ウィキメディア・コモンズ経由で)

2024年5月9日から12日まで、マレーシアのコタキナバルで開催されるESEAP2024カンファレンスプログラムです。2日目午後の【セッションI2】は「日本」に焦点をあてたものです。

■5月9日(火)プレ・カンファレンス
・ワークショップ:サバ州立図書館
・写真撮影:英雄の記念碑
・歓迎夕食会
・民族パフォーマンス

■5月10日(水)第1日
■■午前の部■■
【セッションA】開会式
Opening Ceremony

【セッションB】ESEAPハブ(1)―イントロダクション
ESEAP Hub (1) - Introduction

【セッションC1】Big picture movement scene
ウィキメディア財団年間計画をESEAPと語る
The Wikimedia Foundation’s Annual Plan Conversation with ESEAP

【セッションC2】ESEAPパートナーシップ
◆パートナーのエコシステムの構築―資金調達とその先
Seeding an ecosystem of partners - funding and beyond

◆地域補助金委員会(ESEAP)
Regional Grants Committee (ESEAP)

【セッションC3】ウィキデータ
◆口語の泉漳語は書くことができるか?ウィキデータは役に立つか?
Can Oral Hokkien Language be Written? How Can Wikidata help?

◆ウィキデータ・データ・パートナーシップ:地域での使用例
Wikidata Data Partnerships: use cases for the Region

■■午後の部■■
【セッションD1】Wiki in Education
◆過去を知るためのウィキペディア編集:ウィキペディアオークランド市ターマキマカウラウ区の歴史記事を改善する
Editing Wikipedia to understand our past: Enriching Tāmaki Makaurau Auckland’s local history on Wikipedia

◆授業におけるウィキメディアの活用
Utilization of Wikimedia in Lessons

【セッションD2】ESEAP Connects
◆ESEAP地域での連携の活用
Utilizing Let's Connect in the ESEAP Region

◆文字を持たない民族が自分たちのウィキペディアをどのように確立できるか?
How can a people without a written language establish their own Wikipedia?

ウィキソースは手稿が好き:文化遺産保存のための連携努力に関するパートナーシップの視点
Wikisource Loves Manuscripts: A Partnership Perspective on Collaborative Efforts to Preserve Cultural Heritage

【セッションD3】言語ワークショップ
◆ウィキチューターと声の調和:言語保存のためのウィクショナリーとリンガ・リブレの協働
Harmonizing Voices with WikiTutur: Wiktionary and Lingua Libre Collaboration for Language Preservation

【民族文化パフォーマンス】

【セッションE1】GLAM
ウィキソース:スンダ語ウィキソース発展のための資源提供する大規模な取り組みとしての写本デジタル化
WikiNaskah: Digitization of Manuscripts as a Massive Effort to Provide Resources for the Development of the Sundanese Wikisource (Wikipabukon)

ウィキメディア・オーストラリアはアリス・スプリングス公共図書館と協力してウィキメディアコモンズに画像コレクションを追加
Wikimedia Australia’s partnership with Alice Springs Public Library, adding an image collection to Wikimedia Commons

ニュージーランドのリサ・ウィキペディア・ブッククラブとそのほかの活動
Lisa's Wikipedia Bookclub and other initiatives from Aotearoa New Zealand

◆サルバル・タタラモン:中央ビコール語ウィクショナリーの語彙素
Salbar Tataramon - Central Bikol Wiktionary towards Lexemes

【セッションE2】コミュニティ・スポットライト:マレーシア
ウィキメディアを通じてIPGMケントキャンパスとコミュニティとの協働ネットワークを橋渡しする
Bridging IPGM Campus Kent’s Collaboration Network With the Community through Wikimedia

◆IPGMケントキャンパスのケントウィキクラブ:ウィキメディアESEAPをによる中央ドゥスン語と文化のグローバル化
Kent Wiki Club IPGM Campus Kent: Globalizing Kadazandusun Language and Culture via Wikimedia ESEAP

◆中央ドゥスン語の普及と保存を目的としたIPGMケントキャンパスとの協働におけるウィキメディアの役割
Wikimedia's role in collaborating with IPGM Campus Kent to promote and preserve the Kadazandusun Language

◆自由な知識のためのネットワーク統合
Uniting networks for free knowledge

【セッションE3】教育のためのウィキデータ
◆教育のためのウィキデーターカリキュラムデータをウィキデータで構造化する
Wikidata for Education - Structuring Curricula Data on Wikidata

◆ワークショップ:ESEAP地域での教育言語に関するウィキデータワークショップ
Wikidata workshop on the language of education in the ESEAP region

【文化村への旅】

■5月11日(木)第2日
■■午前の部■■
【セッションF】
◆ESEAPハブ(2)交流会
ESEAP Hub (2) – Meetup

【文化パフォーマンス】

【セッションG1】技術
◆多言語技術プラットフォーム構築の課題
Challenges in building multilingual technology platforms

ウィキメディア財団の信頼と安全製品 - 今後
Trust and Safety Product - The Road Ahead

【セッションG2】評議員

ウィキメディア財団評議員との対話
Sip and Chat with the Wikimedia Foundation Trustees

【セッションG3】Equity
ウィクショナリーにおけるインドネシアの俗語
Indonesian Vulgarities in Wiktionary

◆女性@仕事:ウィキメディアへの貢献以上のもの
Women@Work: More than just a Wikimedia contribution

◆中国の女性たちにグローバルなウィキメディア運動への積極的参加をいかに促すか
How to Encourage Women in Mainland China to Actively Participate in the Wikimedia Global Movement

【集合写真撮影】

■■午後の部■■
【セッションH1】後援団体からの発表
スウェーデン大使館とウィキメディアスウェーデンによるパネル
Swedish Embassy and Wikimedia Sweden Panel Session

ユネスコウィキメディアインドネシアによる、2024選挙における誤報ヘイトスピーチに関する民族(先住民)言語研修
UNESCO-WMID on the Training in Ethnic (Indigenous) Languages on Mis/Disinformation and Hate Speech in the Context of Election 2024

【セッションH2】マレーの文化遺産
ウィキソースを使ったマレー語手稿本の保存
Preserving The Manuscripts Of The Malay World Using Wikisource

◆ウィキ・ムラユ:北スマトラのマレー語視聴覚遺産の継承
WikiMelayu: Inheriting the Malay Audio Visual Heritage of North Sumatra

ウィキペディアを通じて寄宿学校の生徒を変える
Transforming Boarding School Students Through Wikipedia

【セッションH3】体験型ワークショップ
◆韓国のウィキデータとミックスンマッチ
Korean wikidata & Mix'n'Match

◆ワークショップ:コモンズへのアップロードのカテゴリーを改善する(特にESEAPに関連したアップロードに重点)
How to improve the categorisation of uploads to Commons (with particular emphasis on ESEAP-related uploads) - a workshop

【文化パフォーマンス】

【セッションI1】キャンペーン
◆学習と連携プラットフォームとしてのソーシャルメディアの役割と最適化
Optimizing the Role of Social Media as a Learning and Collaboration Platform

◆燃え尽きろ!:台湾のGLAMプログラムの経験
Burn out ! - Experience of Taiwan GLAM Program

◆ウィキ・ドゥノン:フィリピンでの教育ウィキの取り組み
Wiki Dunong: An Eduwiki Initiative in the Philippines

◆国境を超え、画像を超える:コモンズ画像ユーザーグループ活動の衝撃とグローバルな知識共有の連携
Beyond Borders, Beyond Images: The Impact of the Commons Photography User Group's activities and Partnerships on Global Knowledge Sharing

【セッションI2】コミュニティ・スポットライト:日本
◆2023年日本のウィキメディアンへのアンケート調査報告
The report of questionnaire of Japanese Wikimedians 2023

◆70歳のウィキペディアン、図書館の魅力を語る
A 70-year-old Wikipedian talks about the charm of libraries

ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2023受賞者の経験
Experiences of Wikimedian of the Year 2023 winners

【セッションI3】未来を目指して
◆再構築されたウィキペディア・アジア月間への招待とその未来
An Invitation of Joining the Reshaping of Wikipedia Asian Month and its Future

ウィキメディアンを誕生させる
Hatch A Wikimedian

◆ウィキ・バヌア:コミュニティメンバーを結びつける方法
WikiBanua: The Way to Unite Community Members

先住民族言語とウィキペディアウィキペディアがもたらす新しい可能性
Indigenous Languages and Wikipedia: What New Possibilities Can They Bring?

【交流イベント】

■5月12日(金)第3日
■■午前の部■■
【セッションJ1】道具
◆ESEAPにおけるコミュニティ主導のAIガバナンスを想像する
Imagining Community-led AI Governance in ESEAP

◆オートモデレーター:管理者やパトロール隊が破壊行為に対抗しやすくなる
Automoderator: Make fighting vandalism more easier for administrators and patrollers

◆これで何が作れる(作るべきか)?!ウィキデータをツールとして教える際の教育学的課題(インドネシアでの経験)
What can (or should) I build with this?! Pedagogical Challenges in Teaching Wikidata as a Tool (An Indonesian Experience)

【セッションJ2】私たちの地域の周辺
◆ウィキ・レンジャナ:ウィキブックスインドネシアでスンダ料理を広め、文化遺産を維持する
WikiRenjana: Perpetuating Sundanese Culinary on Wikibooks Indonesia to Maintain Cultural Heritage

◆WANZはどうですか?
What about WANZ?

◆フィリピンの人権デー:地域社会への貢献
Human Rights Day in the Philippines: A Community Outreach

文化遺産言語の危機に際し、ウィキペディアを通じて普及と教育を行う
Facing the heritage language crisis, we provide promotion and teaching through Wikipedia

【セッションJ3】ESEAPガバナンス
◆パネル:ウィキメディアのグローバルガバナンスにおけるESEAPの視点
ESEAP perspectives in Wikimedia global governance

◆パネル:ウィキメディア運動憲章とESEAPコミュニティへの影響
Wikimedia Movement Charter and its impact for the ESEAP communities

【セッションK1】著作権
◆ESEAP でパノラマの自由を手に入れる
Free the Freedom of Panorama in ESEAP

◆韓国における著作権問題の認識
Awareness of copyright issue in South Korea

◆ビデオ・カット・ツール:ウィキメディア・コモンズの動画キャンペーンの効率化
VideoCutTool: Streamlining Video Campaigns on Wikimedia Commons

【セッションK2】私たちの運動
◆協力的な運動の促進:エンゲージメント、ネットワーキング、アフィリエイトの進歩に対する型破りなアプローチ
Fostering Collaborative Growth: Non-Conventional Approaches to Engaging, Networking, and Affiliate Advancement

◆第1回グローバル・アドボカシー会合からの学びーESEAP地域への示唆
Learnings from the 1st Global Advocacy Meet - implications for the ESEAP region

【セッションK3】オープンストリートマップ
◆オープンストリートマップを使えばクラウドマッピングはもっと楽しめる!
Crowdmapping is more fun with OpenStreetMap!

■■午後の部■■
【セッションL】
◆ESEAPハブ(3)ー将来計画
ESEAP Hub (3) – Future Plan

【セッションM】
◆ESEAPハブ(4)ー計画
ESEAP Hub (4) – The Plan

【セッションN】
◆閉会式
Closing Ceremony

■参考

■更新履歴

  • 2024.5.5: セッションI2 (3)のタイトル変更

『横浜ゲーテ座』目次

ゲーテ座記念岩崎博物館入り口(さえぼー, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で)

横浜の港の見える丘公園入口手前に、ゲーテ座記念岩崎博物館という建物があります。ゲーテといえばドイツの文豪、岩崎と言えば三菱の岩崎か、と思ったら全くそうではないことがわかり、俄然興味を引かれました。幸い詳しい本がNDLデジタルコレクションにあったので、目次をメモしました。この本は全文検索ができないのですが、巻末に索引と上演した演目の詳細な一覧などがあり、これなら十分レファレンスブックとして役に立ちます。

横浜ゲーテ座:明治・大正の西洋劇場

横浜ゲーテ座:明治・大正の西洋劇場. 第2版 / 升本匡彦著
横浜:岩崎博物館出版局、1986.6
285, 53, 10p
ISBN: 4-900472-01-8
目次:
口絵写真
まえがき…1
第1章 1860年代ーゲーテ座前史…9
第2章 本町通りゲーテ座開場…31
第3章 ノールトワーク・ヘフトをめぐって…41
第4章 山手の劇場ーパブリック・ホールから山手ゲーテ座へ…63
第5章 横浜ゲーテ座の催物…89
第6章 日本にあった西洋劇場…155

1860年代横浜居留地催物一覧(稿)…205
横浜ゲーテ座催物一覧(稿)…209
あとがき…274

初版への序文(加藤衛「ゲーテ座に想うこと」)…279
初版あとがき…284

横浜ゲーテ座主要参考文献…巻末42
挿図出典…巻末38
映画題名索引…巻末30
劇・オペラ・オペレッタ題名索引…巻末18
人名・事項索引…巻末1
岩崎博物館と山手ゲーテ座 / 岩崎幸雄…巻末I
明治の躍動に想う / 瀬尾武志…巻末IV
巻末写真 岩崎博物館…巻末VII

NDLデジタルコレクション:横浜ゲーテ座第2版

Wikipediaブンガク11「橋本治」参加記

県立神奈川近代文学館、2024年4月14日(筆者による撮影)

2024年4月14日日曜日、Wikipediaブンガクに参加するために横浜に出かけました。午前中の会場は港の見える丘公園にある、県立神奈川近代文学館で、3月30日から6月2日まで「帰ってきた橋本治展」を開催中です。今年は桜が遅かったので、花吹雪の中を会場に向かいました。

テーマの作家橋本治は1948年に東京に生まれ、東京大学に入学。東大紛争最中の2年生の時、駒場祭ポスターに書いた「とめてくれるなおっかさん~」で一躍有名になり、当時高校生だった私もニュースでそのポスターを知りました。卒業後橋本はイラストレーターを経て作家として活躍しましたが、私は彼の作品を読んだことはなく、編み物もする変わった人、くらいの印象でした。

橋本は2019年に没し、資料は神奈川近代文学館に寄贈され、今回の展示開催に至ったそうです。10時に会場に集まった10名ほどの参加者は、学芸員によるギャラリートークで展示の見どころなどをうかがった後に、展示室に向かいました。橋本は学生時代歌舞伎座に通い詰めたそうで、卒論も歌舞伎役者四世鶴屋南北とのこと。そうした古典芸能の素養がイラストレーターとしての仕事や小説に活かされているのが随所に感じられました。しかし一番驚いたのは、小説の下調べとして作成した極めて詳細な年表類や、古語と現代語の大量の単語カード、そして登場人物の系図でした。『桃尻娘』など軟弱なテーマの作家と思いきや、舞台裏では綿密で根気のいる作業を長年続けていたことが、実によく伝わってきました。原稿用紙を埋めている特徴ある筆跡や、色使いの見事なニット作品など、現物だからこそ伝わる展示に何度も感激しました。

さて午後は県立図書館なので、バスで桜木町へ移動し、掃部山公園の散り始めた桜の中でランチ。13:30から図書館4階のスペースでWikipediaの編集です。講師から編集についての説明を一通り聞いた後、自己紹介をしてからグループに分かれ、図書館で準備してくださった資料などを参考に早速編集に取り掛かりました。

私は「橋本治」の記事の「来歴・人物」の項目がだらだらしているのが気になったので、そこの部分を自分の下書きページにコピーして内容を整えました。およそ10年ごとくらいに内容をまとめ、出典がつけられるものは追加していきました。文学館の展示図録がずいぶん役にたちましたが、編み物をいつから始めていたかは、図録ではわかりません。オブザーバー参加の仲俣暁生さんに相談すると、すぐに平凡パンチの記事を紹介してくださいました。それは大宅壮一文庫から鴨志田浩さんがたくさん用意してくださった中にあったので、それを典拠に記事を整えました。脚注の付け方でよくわからなかった部分は、講師のAraisyoheiさんが丁寧に教えてくださいました。

終了時刻が迫ったので、下書きを本文該当部分と差し替えてミッション一応完結。出典が足りないところもありますが、それは追々整えられていくでしょう。振り返りの発表を聞くと、他の方たちもそれぞれに興味のある点に特化し、集中して作業されていたのがよくわかりました。これぞ集合知の賜物です。

会場をかたずけてから皆で横浜駅に移動し、懇親会。本日の出来不出来やら文学界のあれこれやら将来の企画などについて、時間を忘れて話が弾みました。

ウクライナの文化外交月間2024に参加

ウクライナの文化外交月間2024」に参加しました。2022年以来2回目です。翻訳した「タマラ・ドゥーダ」の記事が大変に興味深かったので、Diffに記事を書きました。その後「カテリーナ・カリツコ」も翻訳して出しました。同じ作家でも全く違う方向性の人物でした。

■参考

WikiGap2024参加記

山川菊栄の航跡:「私の運動史」と著作目録』ドメス出版、1979

WikiGapには2019年以来何回か参加していましたが、このところオンラインイベントが続いていました。今年は5年ぶりにオフライン開催との案内が来たので、早速申し込みました。3月3日、神奈川県立図書館で、テーマは「山川菊栄」とのこと。なじみのない名前でしたが、近くの図書館で関連する本を取り寄せてみると、戦前から戦後にかけて女性の権利拡張のために尽力した偉大な人物であることがわかってきました。

イベントのページには「加筆や出典追加が望まれる項目」が出ていたので、その中から「ベッシー・ビアティー」を選び、英語版ウィキペディアから翻訳してみました。このアメリカのジャーナリストは、1917年に仲間とロシアへ取材旅行に出かけ、ロシア革命の最中の重要人物から貴重な情報を得て『ロシアの赤い心臓』という本にまとめました。山川はその中から「革命ロシアと婦人」という章を翻訳し、他の人の文章と併せて『黎明期のロシア』という本を1923年に出版しているのです。山川は1912年に女子英学塾(現:津田塾大学)を卒業し、数多くの英文記事を翻訳して日本に紹介していたのでした。『黎明期のロシア』はNDLデジタルコレクションに入っているので、全文を読むことができます。

神奈川県立図書館(筆者撮影、2024.3.3)

さてイベント当日になり、電車に乗って紅葉山の神奈川県立図書館へ向かいました。午前中は山川菊栄記念会の方から山川について概要をうかがいましたが、戦前にもこのようなアクティブな女性がいたことに改めて感銘を受けました。また山川の資料が没後に神奈川県立婦人総合センターへ納められ、その後県立図書館へ移管された経緯も、県立図書館の方から詳しく説明がありました。現在は図書館内に紹介コーナーが設けられ、様々な機会に活用されているそうです。

掃部山公園にある井伊直弼銅像(筆者撮影、2024.3.3)

ランチ休憩には隣の掃部山公園でおにぎりを食べました。春らしい暖かい空気の中で井伊直弼銅像も気持ちよさそうでした。

午後はいよいよエディタソンです。20名ほどの参加者は男女半々、Swaneeさん、のりまきさん、さえぼーさんなど超ベテランから初心者まで様々な顔ぶれでした。中には北海道や新潟からはるばるいらした方も。編集作業では、初心者の方たちは「山川菊栄」「山川菊栄賞」などのすでにある項目に出典を追加する作業に取り組まれました。私は準備してきた「ベッシー・ビアティー」の記事を公開した後は、初心者グループのサポートに回りました。いろいろな質問が飛び交い、サポート役のメンバーがそれぞれ対応し、あっというまの終了時刻。最終報告によると新規記事6件、加筆記事28件、全参加者27名となりました。どなたも何かしら記事を書いたり加筆したりして満足そうな笑顔、笑顔。参加記念のWikiGapバッチやステッカーをいただき、散会となりました。

当日資料とWikiGapバッチ、ステッカー

それから横浜駅まで繰り出して中華料理店で懇親会です。ほとんどの参加者が席に加わり、これまでの経験をお互い披露したりしてなごやかに時を過ごしました。後日参加記を英語版Diffに書いておきました。

さてこのオフラインイベントとは別に、オンラインのWikiGap2024も3日から8日まで併せて開催されました。こちらは現地参加できない方が中心でしたが、私も山川菊栄以外に準備していた記事を出しました。1月から読み進めている『砂漠の林檎:イスラエル短篇傑作選』の中から、「サヴィヨン・リーブレヒト」と「イリット・アミエル」という二人の女性作家の記事です。イスラエル作家の作品を読んだのは初めてでしたが、ヨーロッパのホロコーストを逃れてパレスチナにたどり着き、イスラエル建国を経て現在に至る様々な人生を知りました。本はまだまだ先があるので、これからも作家を追加していく予定です。

8日までまだ日数があったので、Diffで知ったアメリカのウィキペディアン、アニー・ラウダさんの記事を英語版から翻訳して出しました。1999年生まれのZ世代であるラウダさんは、大学2年生の時パンデミックとなり、「デプス・オブ・ウィキペディア」というSNSアカウントを作ってコメディタッチでウィキペディアを紹介したそうです。それが全米を横断するツアーにも発展し、インターネット上での有名人となりました。こうしたダイナミックな若者の行動力に圧倒され、世界を見る眼がまた一つ広がった思いです。

このオンラインイベントは最終的に参加者9名、新規作成21件、加筆19件という結果でした。新規作成の内いくつもが「新しい記事」に選ばれ、めでたいことでした。

■参考

※オフラインの主催はWikiGapかながわ実行委員会、共催は神奈川県立図書館、後援は山川菊栄記念会でした。



            

ESEAPとは

ESEAPロゴ (Exec8, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で)

ウィキメディア運動は国境を越えて世界中で展開されているのですが、世界を8つの地域に分けた協働組織もあります。それは北アメリカ(アメリカ合衆国、カナダ)、ヨーロッパ北部と西部(NWE)、ラテンアメリカカリブ海地域(LAC)、ヨーロッパ中部と東部(CEE)、サハラ以南アフリカ、中東とアフリカ北部(MENA)、東アジアと東南アジアならびに太平洋地域(ESEAP)、南アジア、という区分で、日本は「東アジアと東南アジアならびに太平洋地域(ESEAP)」に含まれます。

このESEAP地域の情報は、Metaの「ESEAPハブ」ページにまとめられているので、最初の部分を引用します。

ウィキメディアの東アジア、東南アジア、太平洋地区地域協定 (ESEAP) とは地域の協働組織で国別やウィキメディアの提携団体として以下が参加します。インドネシア、台湾、オーストラリア、韓国、タイ、フィリピン、マレーシア、ミャンマーニュージーランド、香港、ベトナム。以下の国別ならびに非公式なコミュニティにも会員の資格があります。ブルネイカンボジア、中国、日本、ラオスマカオ、モンゴル、パプアニューギニアシンガポール東チモール、太平洋諸島地域ミクロネシア連邦、フィジーキリバスマーシャル諸島ナウルパラオサモアソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ。

ESEAPは数年の準備期間の後、2018年に最初の会合インドネシアのバリで開催しました。2019年にはWikimaniaWikimedia Summitに合わせた会合と、タイのバンコクでの戦略会議が開かれました。2020年から2023年は主にリモートで数多くの会合が開催されたほか、2021年にはWikimaniaに合わせた会合、2022年にはオーストラリアのシドニーでハイブリッド会合、2023年にはシンガポールで戦略会議が開催されました。それぞれの詳細は次のサイトにまとめられています。

そして2024年には、5月10日から12日までマレーシアのコタキナバルにおいて「ESEAPカンファレンス2024」が開催されます。カンファレンスのメインテーマは 「地平線を超えたコラボ」(Collaboration beyond the horizon)です。

■参考

マレーシアのWikiGap

セマイ語の教師が母語ウィキペディアをインキュベータで編集する (Syafiq.y, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

WikiGapエディタソンが3/3に横浜であるので、関連記事をDiffで探したらマレーシアのがあったので翻訳しました。多民族からなる国の多言語コミュニティの様子を垣間見ることができました。原著者Tofeikuさんは昨年のウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。

日本でこれまでに開催されたWikiGapには何回か参加してきましたが、いずれも日本人あるいは外国人の女性の記事を普通に立項したり翻訳したりしただけで、言語について考えたことはありませんでした。しかしマレーシアではマレー語以外に多くの固有言語があり、それぞれの言語のウィキペディアがあるわけでなく、新たにそうした言語版のウィキペディアを立ち上げるところから始められていました。その際には「ウィキメディア・インキュベーター」という、新たな言語での試験運用を行う場所が用意されているのを知りました。

こうした多言語のコミュニティそれぞれに出向き、地域のウィキメディアンを丁寧に育てているTofeikuさんの活動を知り、ウィキメディア運動の意義深さを感じ取ることができました。

■追記
原著者のTofeikuさんに、翻訳したことを伝えようと調べたら、Tofeikuさんのウィクショナリーページで会話できるというので、メッセージを送りました。
ms.wiktionary.orgPerbincangan pengguna:Tofeiku