アカデミック・リソース・ガイド株式会社(arg)の公式メールマガジン「ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)」1007号(2024年5月20日)に寄稿した、「ESEAP2024参加記」を再録します。メルマガの登録はこちらへ。
「ESEAP2024参加記」
門倉百合子(独立系司書、ウィキメディアン)
インターネット上の百科事典であるウィキペディアは、ウィキメディア運動の一つのプロジェクトであり、そのほかにいくつものプロジェクトが行われています。それらに関わる人たちはウィキメディアンと呼ばれ、世界中の数多くのウィキメディアンたちが日々ボランティアで活動しています。
そのウィキメディア運動のアジア地域の大会ESEAP(イーシアプ)2024に参加のため、この5月にマレーシアのコタキナバルへ行きました。ESEAPはマレーシアなど11の国・地域別ウィキメディア協会と、日本を含む21の利用者グループの連携組織です。
2018年にインドネシアで第1回の大会が開催され、第2回は2022年にオーストラリアで開催されました。そして今回の第3回大会には、13の国と地域からおよそ150人のウィキメディアンが参加しました。
・ESEAPとは|「70歳のウィキペディアン」のブログ
https://wikipedia70.hatenablog.com/entry/2024/03/01/133738
5月10日から12日まで3日間に渡りコタキナバルのホテルで開催された大会では、24セッションの中に61の講演、ワークショップなどが3会場に分かれて行われました。テーマはウィキペディアやウィキデータなどのプロジェクト関連事項をはじめ、教育との関わりや女性の参加向上の試みなど多岐に渡りました。
またESEAPの組織運営に関する話し合いも、全員参加の席上でいくつも重ねられました。セッションの間にはマレーシア各地の踊りや歌などが披露され、参加者を楽しませてくれました。
・ESEAP2024プログラム|「70歳のウィキペディアン」のブログ
https://wikipedia70.hatenablog.com/entry/2024/05/03/144113
2日目のセッションの一つは「日本」に焦点を当てたもので、3つの発表がありました。最初は昨年正式に発足した日本のユーザーグループから、日本のウィキメディアンへ実施したアンケートの調査結果報告でした。次は昨年出版した『70歳のウィキペディアン』について私が発表しました。3番目は昨年のウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー受賞者であるマレーシアのタウフィク・ロスマンさんと、同新人賞受賞者である日本のユージン・オーマンディさんが、それぞれの経験を発表されました。質疑応答も活発になされ、充実したセッションとなりました。
・ESEAP2024での日本関連セッション|「70歳のウィキペディアン」のブログ
https://wikipedia70.hatenablog.com/entry/2024/05/15/095411
参加者のうち100人に対し旅費の助成が行われると1月に案内があり、私も応募したところ、幸いなことに受諾されました。せっかくなので拙書について話してみようとライトニングトークに応募したところ、こちらも採用されました。
助成金やトークに応募する段階で、ウィキメディア運動についていろいろと学ぶことができました。さらに実際に現地へ行ってみると、予想をはるかに超える出会いと学びの機会を得ることができました。詳細は別途まとめる予定ですが、多くの方に興味を持っていただければ幸いです。
・ウィキメディアから私たちが得たもの|Diff
https://diff.wikimedia.org/ja/2024/05/07/%e3%82%a6%e3%82%a3%e3%82%ad%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2%e3%81%8b%e3%82%89%e7%a7%81%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%8c%e5%be%97%e3%81%9f%e3%82%82%e3%81%ae/
[筆者の横顔]
門倉百合子(かどくら・ゆりこ)。人生100年時代をWikipediaの編集で満喫している独立系司書。1977年より種々の専門図書館で仕事を重ねる。2005年から2017年には公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター(現・情報資源センター)にて、「渋沢社史データベース」を始めとした種々の情報資源開発に携わった。2016年からWikipediaの執筆を開始し、2023年に『70歳のウィキペディアン:図書館の魅力を語る』(郵研社)を出版した。
※この文章はクリエイティブコモンズライセンスCC-BYにて公開します。