OpenGLAM JAPANシンポジウム参加

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/98/The_building_of_Museum_and_Centennial_Hall%2C_the_Tokyo_Institute_of_Technology_01.jpg 東京工業大学博物館・百年記念館(Fumihiro Kato, CC BY 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で)

ウィキペディアの編集方法について、一人でわかることは一通りやってみましたが、やはりどこかで誰かに教えてほしいと思いました。そこでウィキペディア関連のイベントを捜したところ、2016年3月に「第7回OpenGLAM JAPANシンポジウム:博物館をひらく-東京工業大学博物館編」があることがわかりました。OpenGLAMとは、「文化施設(Gallery, Library, Archive, Museum) のオープンデータ化をITの活用により促進する活動。収蔵品データ等の幅広い活用を図る」とフェイスブックページで紹介があります。「オープンデータ」という概念にも引かれ、早速申し込みました。

3月21日春分の日、会場の東京工業大学博物館・百年記念館(写真は当日撮影されウィキメディアコモンズにアップされたもの)で開かれたイベントは、要するに東工大博物館の収蔵品情報をウィキペディアに載せよう、というものです。当日の概要はフェイスブックページにまとめられており、Twitterのまとめもあるので振り返ることができます。自分のつぶやきもしっかり載っていて面はゆいですが、当日の空気感も伝わってきます。なお参加者には、大向一輝さんほか何人か知り合いがいましたが、ほとんどは初対面の方たちばかりでした。

10時開始のプログラムは、午前中に2本の話題提供講演、午後に説明のあと見学とウィキペディア編集、という構成でした。東工大博物館は撮影自由で、会場にはコンセントが壁と床に随所にあり、持参したPCを広げてtweetしながら講演を聴きました。

■話題1:福島幸宏氏(京都府立図書館)「歴史資料を拓く─制度と慣例のあいだ」
「資料を独占するものに禍あれ、資料を公開するものに幸あれ」がテーマのお話は、歴史資料を拓くGLAMのあり方を評価するものでした。福島さんは2008年の国文学研究資料館主催アーカイブズ・カレッジで共に学んだ仲です。当時は東寺百合文書のデジタル化に取り組んでらっしゃいましたが、その後東京大学を経て2021年から慶應義塾大学で准教授として活躍しておられます。

■話題2:南山泰之氏(情報・システム研究機構国立極地研究所情報図書室)「研究・観測データを拓く─国立極地研究所の取組み」
南極や北極についての研究成果など触れたこともありませんでしたが、研究・観測データとは何か、収集資料のメタデータや数値データを収集し公開する実際、データの取得方法、海外事例、懸念事項など、幅広い側面から話題提供がありました。若き研究者南山さんは、2019年から国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センターのご所属です。

ランチ休憩をはさんで、午後の部にはいりました。
■説明1:日下九八氏(東京ウィキメディアン会)「文化資源をひらくツール─Wikimedia Commons」
ウィキペディアのことを調べているとよく登場する「日下九八」というユーザー名の、ご本人にお目にかかるのは初めて。ウィキディアコモンズとは何か、に始まり、情報を拓く場としてのウィキペディアタウンへ繋がりました。富山での実施状況の写真や二子玉川でのワークショップ当日の様子などを説明されました。

■説明2:阿児雄之氏(東京工業大学博物館)「東工大博物館をひらく─資料のオープンコンテンツ化」
シンポジウム主催者のお一人である阿児さんが、東工大博物館を拓く実践活動のあれこれをお話されました。記事を書いてWikipedeaに投稿したり、建物と展示室写真を蓄積したり、様々な切り口で執筆、撮影、翻刻、データ整理、館内マップ作成など、ちいさいことからコツコツとコンテンツを作っておられます。技術的に難しいのは人に任せるというのも参考になりました。なお阿児さんは、2018年から東京国立博物館におられます。

さて一通りお話が終わった後は、まず展示室ツアー。そしてグループに分かれていよいよウィキペディア編集開始です。参加者から挙げられたいくつかのテーマの中で、私はお雇い外国人「ゴットフリード・ワグネル」チームに入りました。最初は皆でぞろぞろと構内にある記念碑を撮影です。その後会場に戻り、各自PCを広げて編集作業を開始。グループにはSwaneeさんやら京都からいらしたKKさん(現在は田原市)やら都内某大規模図書館のMさんやらベテランぞろいでしたので、編集でわからないことは何でも聞いてみました。写真をアップするのも初めてでしたが、コツを教えていただきました。本文執筆の要領、脚注の上手なつけ方など、独学だけでは見えなかった部分がよくわかりました。

17時をまわったころに、チームごとの成果発表。大向さんも「ETA10/ETAシステムズ」について発表されましたが、これは私には何が何だか。それでもイベントは無事終了し、参加のみなさんと一緒に懇親会会場へ向かいました。なにしろ初めての参加だったので、いろいろな方に根掘り葉掘りウィキペディアのことを話していただいたような気がします。だいぶ後になって知り合った方々の中に、このイベントの参加者が何人もいらしたのは驚きでした。

さてたっぷり勉強したものの、実際に記事を書くまでには、その後半年ほどかかりました。やはり新しい情報発信のツールを使いこなすには、まだまだ心の準備が必要でした。最初の一歩はハードルが高いものです。

※【第7回OpenGLAM JAPANシンポジウム「博物館をひらく-東京工業大学博物館編」を開催しました!】|OpenGLAM JAPAN FB(2022年11月14日閲覧)
https://www.facebook.com/OpenGLAMjp/posts/1249947218368245?__xts__